温めると溶け、冷やすと固まる。ゾルーゲルの熱可逆性。

豚や牛など、動物のカラダを形づくる繊維状のタンパク質をコラーゲンといいます。コラーゲンは温めてもなかなか溶けません。それでは応用が効きません。そこで、コラーゲンに熱を加えてゾル化・ゲル化を可能にしたものが 『 ゼラチン 』 です。 ゼラチンにはコラーゲンと同じく、沢山のタンパク質が含まれています。体にも美容にもとってもいいんですよ。しかも食べるだけではありません。ゼラチン(ニカワ)が誕生した太古の昔から、ゼラチン(ニカワ)は、ある時は接着剤として、またある時は写真の印画紙として、姿かたちを変え、私たちの生活を豊かにしてきました。動物性のタンパク質を豊富に含んでいるものであればゼラチンの原料として用いることができますが、安定した生産を保つために、その多くは家畜の骨や皮から抽出されています。近年では魚類から抽出した魚ゼラチンなど新しい種類も普及しはじめています。周りを見渡せば色々なところに隠れているゼラチン。あなたも是非見つけてください。
ゼラチンが出来るまでゼラチンの多くは牛や豚のコラーゲンから作られています。
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牛や豚からゼラチンの元(コラーゲン)を作ります。難溶性のコラーゲンを、アルカリや酸を使って可溶性に変えます。
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原料の中のコラーゲンを温水によって加熱変性しタンパク質を抽出します。
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抽出したゼラチンを細かいフィルターでろ過し、pH調整を行います。
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成型、乾燥すればゼラチンの完成です。板状にしたり粉末状にしたり用途に合わせて使いやすく加工します。

ゼラチンの栄養分
ゼラチンの栄養成分は、全体の約87%をタンパク質、続いて約12%の水分、残りわずかの灰分の順となっています。 話は少し変わりますが人間の体の60~70%は水分であり、続いて多いのがタンパク質です。 人間の体で大事な働きをするタンパク質に注目してみましょう。 人間の体のタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。 この20種類のアミノ酸は、9種類の「必須アミノ酸」と11種類の「アミノ酸」に分類できます。11種類の「アミノ酸」は、必要に応じて体内で合成されますが、9種類の「必須アミノ酸」は体内で合成できないので食物から摂取しなければなりません。 ゼラチンは8種類の「必須アミノ酸」と、10種類の「アミノ酸」で構成されています。特に必須アミノ酸の中で、リジンを多く含みます。 リジンは体内でのブドウ糖の代謝促進や、カルシウムの吸収に関与し、子供の成長に欠かせない必須アミノ酸です。 また、ゼラチンには必須アミノ酸の一つであるトリプトファンが含まれていません。しかしながらトリプトファンを多く含む乳製品と合わせて摂取することで、さらに栄養価の高い食品となります。

ツタンカーメンも使っていた?ゼラチンのはじまり。

ゼラチンは、今から5000年以上昔、古代エジプトの「ニカワ」製造が始まりであると言われています。「ニカワ」とは、動物の皮革から採られた強力な糊のことです。ゼラチンは、長い間接着剤として使用されてきましたが、19世紀より食用のゼリーに使われ始め、そして現在「食用」「医療用」「写真用」「工業用」など、幅広く使用されています。